今回、ご紹介する本はこちらです。
「マンガでわかる 今日から塾をやめてみた」(主婦の友社)
監修/宝槻泰伸(探究舎代表)、マンガ/ナナイロペリカン
塾を経営する立場からみると、ドキッとするようなタイトル。
職業柄、ついつい手に取ってしまい購入。
文章だけでなく、マンガやイメージが散りばめられていて、読みやすい文章でした。
こんな人におすすめ
小6の娘はフラダンスの習い事に夢中で、勉強には無関心・・・そろそろ中学に向けて塾に行かせた方がいいのかな?
日本はいまだに学歴中心の社会だし、子どものためにも少しでも偏差値の高い学校に行かせた方が、将来的にも有利なんじゃないかな?
上記のような思いを抱いている方は、非常に多いのではないでしょうか?
- 塾に行けば、勉強するようになる。
- 子どもが幸せになるには、良い学校に入ったほうがいい。
- 子どもは学力が高い方が将来的には安泰だ。
本書を読むと、こういった考えがすべてではない。
たとえ、子どもがレールから外れてしまっても、けっして悲観することはない。
子どもを無理に塾に行かせなくても、なんとかなる!
小さいお子さんを持つ保護者にとって、心の救いとなる書になるでしょう。
本の紹介
今も昔も、日本の学校のシステムでは、子どもの「知識・思考力」が最も重要視されています。
テストで良い点数を取ること。
ほかよりも突き抜けた作文を書けるようになること。
早く計算問題を解けるようになること。
こういった、頭脳面での優劣で、子どもの序列が決められていたイメージがあります。
というのも、これまでの教育では、与えられた課題に対して、「正しい答えを出す」ことが重要視されていたからです。
しかし、先の見えない世の中。「正しい答えを出す」ための「知識・思考力」の優劣だけでは評価できない時代になってきています。
そして、そんな先の見えない、変化の多い時代では、「新しいものを生み出す」ことこそが求められている、と筆者は説きます。
もちろん、「知識・思考力」は大事ですが、身体能力や音楽・リズム知能、コミュニケーション能力といった能力も同じように重要視されるようになっていくのです。
新しいものとは、知識を使って新たな発想を引き出すことだけではありません。独特なピアノ演奏ができたり、どんな人とでも仲良くなれるようなスキルがある、ということでもいいでしょう。
要は、子どもが持っている「強み」を徹底的に伸ばし、その強みを生かせる人こそが、評価される時代になるのです。
そうした背景からすると、勉強ができることに無理にこだわる必要はありません。
本書では、子どもが「好き!」になれることに目を向かせる、ということも、一つの選択肢としてある。そんな新たな方向性を提示してくれます。
感想
私も教室を運営しているので、「明らかに勉強に向いていない生徒」のことが頭に浮かんできました。何度言っても、直らない。直そうとしない。手のつけようのない生徒のことです。
たしかに、小中学生のあいだは学力を向上させることは大事です。そのためにも、塾の存在は今後も欠かせないでしょう。
しかし、どうしても勉強には向いていない。本人にその気がない。学習障害かもしれない。そういった子どもであれば、無理に勉強させようとしても、おそらく無駄な時間、費用がかかるだけで終わるケースが多いです。
それなら、思い切って塾をやめる!
かわりに、子どもが熱中できるもの、好きなことにトコトン向き合わせる。
そういう方向性も新たな選択肢としてアリなのだと思います。
もし次のケースにあてはまる方は、その選択を検討してみてはいかがでしょうか?
- うちの子は、性格的・学力的にみて、どうしても勉強は向いていないかな?
- 何度言いつづけてるのに、勉強には興味を示さない。
- いっしょうけんめい勉強には取り組んでいるようだが、どうしても成績が上がらない。
人生100年と言われる時代。
子どものときに、他の子と違った道を選択したからといって、それですべてが終わるわけではありません。
若いうちだからこそ、いくらでも挽回は可能です。
仮に、今勉強が苦手な子でも、ほかの才能を見出して、幸せな人生を歩んでいくことができるのです。
「塾に行かせるだけではない。別のやり方もあるんだ。」
本書を読むと、そんな思いを抱かせてくれます。
ぜひご一読を!
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