最近、千葉県の公立高校の倍率が下がっているみたいだけど、何が原因なのかしら?やっぱ私立高校の方が人気が高いのかしら?
親とすれば、費用が安く済む公立の方が助かるんだけどな・・・
♦本記事の内容
- 近年の千葉県の公立高校の倍率が下がった原因は?
- 来年(令和5年)以降の公立高校の倍率はどうなるの?
これまでの入試倍率
ちょっとこないだまで、千葉県の公立高校の倍率は、2倍から3倍くらいが当たり前でした。
それが、令和3年、4年になって倍率が一気に低下したのです。
以下、令和2年度前期の主要高校の倍率と、令和4年度の倍率の比較表をご覧ください。
高校名 | 令和2年度 前期倍率 | 令和4年度 倍率 |
県立千葉 | 2.97 | 1.69 |
千葉東 | 2.70 | 1.65 |
市立千葉 | 2.70 | 1.58 |
幕張総合(総合学科) | 2.68 | 1.54 |
千葉西 | 1.93 | 1.22 |
検見川 | 2.51 | 1.27 |
磯辺 | 1.83 | 1.15 |
数字だけ見ると、ずいぶん倍率が下がってますよね?
この数字だけ見ると、公立高校はだいぶ入りやすくなったと感じる方がほとんどではないでしょうか?
そこで、今回は、前半で、千葉県の公立高校の入試倍率がなぜ、これほどまでに低下したのか?
後半で、今後は公立高校の入試の倍率はどうなっていくのか?についてお伝えしていこうと思います。
公立高校の低倍率の原因5つ
もちろん、日本全体が「少子化」になっているのは、要因の一つでしょうが、そこは当たり前すぎるので、今回は少子化という要因は省きます。
また、中学受験の人気が高まっているのも要因の一つかもしれませんが、そこは以前からお受験の人気は高かったので、その点も除きました。
千葉県の公立高校が低倍率になった原因は、以下の5つあると考えます。
- 入試制度の一本化(前期・後期制の廃止)
- 公立はオンライン化に非対応
- 私立高校の授業料の実質無償化
- ひきこもり・不登校の増加
- 通信制・私学への流入
以下、個別に見ていきましょう。
入試制度の一本化(前期・後期制の廃止)
千葉県の公立高校の倍率が低下した一気に低下した原因は、これが一番大きいとみていいでしょう!
それは、令和3年度に、従来の前期・後期の二期制(2回受験できるチャンスがあった)から入試制度が一本化に変更されたことです。
参考に、一本化される前の、前期と後期の全体の倍率を見てみましょう。
【令和2年度 前期】*一本化前
前期定員 | 志願者数 | 前期倍率 | |
全日制全体 | 21758人 | 36644人 | 1.68 |
【令和2年度 後期】*一本化前
後期定員 | 志願者数 | 後期倍率 | |
全日制全体 | 11351人 | 14740人 | 1.30 |
受験を2回に分けているので、前期・後期合わせて、定員は約3万3000人です。
後期になると、受験自体あきらめる人も一定数いるので、志願者数はだいぶ減ってきますね。
次に、令和3年度からの入試制度一本化した後の全体の倍率をご覧ください。
【令和3年度 (*一本化)】
定員 | 志願者数 | 倍率 | |
全日制全体 | 30920人 | 33517人 | 1.08 |
前年の前期の倍率1.68から1.08へと、大きく減少しました。中には、倍率が一気に半分近くに減少した高校もありました。
【令和4年度】
定員 | 志願者数 | 倍率 | |
全日制全体 | 31320人 | 34637人 | 1.10 |
令和3年度より、志願者数は1000人ほど増えています。
しかし、昨年同様、倍率は低いです。
志願者数自体は大きく変わっていないが、定員数の変化に注目!
入試が一本化された後の倍率を見ると、令和3年度(1.08倍)と令和4年度(1.10倍)とでは、さほど変わりませんよね?
それに対して、一本化される前の、令和2年度の前期の表に注目してください!
前期の全体の定員は、21758人。そして、受験者数が約3万7000人。
入試を2回に分けたことで、令和3年・4年の定員約3万人に比べて、1万人近く定員数が少ないことがわかります。
受験者数は、一本化される前の令和2年度と、一本化された後とを比べると、多少志願者数が減っていますが、いずれも3万人強もいます。
令和2年度前期試験の志願者数が約3万7000人
令和3年度の志願者数が約3万3000人
令和4年度の志願者数が約3万4000人
たしかに、志願者数は減っていますが、そこまで大きく減ったわけではないのです。
キーとなる数字は、前期試験の定員数!この約2万2000人という数字です。
この数字が、一本化によって3万人ほどに引き上げられた。ここで、一気に入試倍率が下がったわけです。
倍率だけ見ると、たしかに一本化された後、かなり低くなっていますが、全体の定員数と受験者数自体は、それほど大きく変わったわけではないんですね。
まさに、「数字上のトリック」といえます。
オンライン化に非対応
公立高校では、「授業のオンライン化」が全く進んでいません。
生徒がコロナで欠席した場合でも、オンライン授業での代替授業といった対応をすることはありませんでした。
実際、私の生徒たちを見ていると、欠席しても学校からプリント課題を出されたのみで、何も欠席した分のフォローをしてもらえなかったそうです。完全に放任主義ですよね。
千葉県では、コロナが流行り出すと、中学校や小学校では、「ギガタブ」を貸与してオンライン授業に切り替えるなどの対策に取り組めています。
それに対して、公立高校の方は、だいぶ遅れているんですよね。学校を休校にしただけで済ませて、あとは課題を出して、それでおしまい、といった感じです。
タブレットの貸与など一切ないような雰囲気です。
コロナ禍で、私学はすぐにオンライン授業に切り替え、生徒の「学びを止めない努力」をしてきました。
このオンライン化への対応の有無で、公立と私立との差が明らかになったといえます。
公立高校だと「サポート面が弱い」っていうのは噂で聞いたことあるわね。
自分から勉強を進められる子でないと、休み期間中に堕落しちゃうわよねー
私立高校の授業料の実質無償化
2020年4月から徐々に支援額が引き上げられています。
世帯の年収額にもよるので、必ずしも全員が無償化の恩恵を受けるわけではありませんが、以前に比べれば、支援を受けやすくなっているのはたしかです。
これまで高い私立の授業料を支払えず、やむなく公立高校を選ばざるをえなかった生徒が、私立高校に入れる可能性が広がったわけです。
しかもコロナ禍での公立のフォローの薄さも手伝って、「多少費用が掛かってもいいから、私立に入れさせよう」という家庭も多かったのではないかと予想されます。
授業料だけでも安く抑えられるのなら、私立高校という選択肢もアリだよね。
たしかに、公立だと、費用は安いけど、内容が薄っぺらいしね・・・
ひきこもり・不登校の増加
コロナ禍により、ひきこもり・不登校の生徒が増えてきている、という影響も無視できないでしょう。
休校・分散登校などが増え、
- 生活のリズムが取れない
- 友人との関係が薄い
- 顔を見られるのが恥ずかしい
などの理由で、学校に行けない子が、じわじわと増えてきているのです。
ひきこもり・不登校になってしまうと、中学校の出席日数も当然足りなくなります。
そうなると、内申点も考慮される公立高校だと、合格するのは難しくなる。
「授業に出席しない」、「テストをまともに受けられていない」、「体育の授業に出られない」
この時点で、通知表に「1」がついてしまいます。「2」で済めばラッキーなくらい。
内申点が低ければ、「やはり公立はムリかなー」と意気消沈してしまうのも無理はありません。
それに、中学校の授業にまともに通えない生徒が、公立高校に受かったとしても、入学したあと、継続して高校に通うのは、かなり厳しいと予想されます。
高校は義務教育ではないので、単位が取れないと「留年」になってしまいますからね。中学のときのように、不登校でいることは難しいです。
公立高校だと、私立高校のように、オンライン対応をしてもらうのは、今のところ厳しい。そうなると、授業に出席できない子は、単位が取れず、進級できない。
そうなると、「高校中退」という流れに自然と陥ってしまうわけです。
こういった予測から、ひきこもり・不登校の中学生が向かう先は、通信制高校、よくて、オンライン授業に対応した私立高校。
「公立高校を受験しよう」という選択肢はありえないでしょう。
通信制・私立高校への流入
先ほどから何度か触れているように、私立高校はオンライン授業を積極的に取り入れ、生徒のフォローを手厚くしてきました。
もちろん、施設の充実度や制服、人員サポートなどのハード面も見逃せない要素です。
ボロい校舎の公立高校よりも、華やかな雰囲気の私立の方が、子どもや保護者にとって、魅力に映るのは当然でしょう。
たしかに、私立のトイレなんて、高級ホテルみたいにゴージャスだったもんね。
自販機もいっぱいあるし、学食も立派だし、私立はお金かけてるだけあるわよね。
さらにもう一つの新興勢力が、通信制の高校です。
通信制の高校といえば、これまでは、高校を中退した子や不登校の子の「受け皿」のような存在でした。
しかし近年、スゴイ勢いで通信制高校が伸びてきているんですよね。コロナによって、さらに加速しているのではないでしょうかね?
従来の通信制高校だけでなく、N高や、ゼロ高といった新しい学びを提供してくれる通信制高校も出てきました。
わざわざ高校まで行かなくても、「自宅で自分の好きな授業を選択できる」、しかも「授業の内容は面白い!」
そうなれば、わざわざ遠くの公立高校まで毎日行くなんて必要ない。
そう考える人が出てくるのも、よくわかります。
私立高校や通信制高校に生徒が流れていくのは、今後も続いていくのではないでしょうか。
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来年以降(令和5年度)以降はどうなる?
結論としては、来年以降も、千葉県の公立高校の倍率は低いままでいくでしょう。
低倍率化の最大の要因である、入試の一本化が続くからです。
そこに、私立高校・通信制高校の勢いが増していく。
コロナで、ひきこもりや不登校が増える。
こういった要素も、じわじわと低倍率化に影響していくでしょう。
そもそも、少子化や中学入試の人気化によって、公立中学に通う中学3年生の数が減っています。
こういった事情を踏まえると、公立高校は生徒を集めるためにも、一刻も早くオンライン化の環境を整備し、コロナ対策に真剣に向き合う必要があります。
「月謝が安い」だけが公立の魅力、というのは、あまりにもさびしくないでしょうか?
とはいえ、受験生にとっては、公立高校に合格できるチャンスが広がったのはたしかです。
希望を信じて、受験勉強に取り組んでいきましょう!
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