中学受験の志望校選び、どうすればいいかな?うちの子には、私立中学の問題はかなり難しいから、「千葉大附属中」の問題だったら、何とかなるかもって聞いたけど・・・・
千葉大附属中に行ったら、そのまま「千葉大学」にも入れるのかな?
こんなお悩みを解決します。
♦本記事の内容
- 千葉大附属中学校の入試制度について
- 千葉大附属中学校に入学するメリット&デメリット
- 千葉大附属中学校の受験にのぞむ上での考え方
千葉大附属中って言ったら、名前だけ聞くと「あの国立の千葉大の附属中なんだ!?」、「なんかスゴイ名門そうだし、うちの子にも入学させたい!」と、誰もがうらやむ中学校なのではないでしょうか?
そこで今回は、そもそもの前提として、「千葉大附属中学校の入試制度」について解説した上で、入学するメリット&デメリット、最後に受験にのぞむ上での考え方について、熱くご紹介していきたいと思います。
千葉大附属中の入試制度について
まず、そもそもの話として、受験資格がないと話になりません。
千葉大附属中の応募資格
①受験するときに小学6年生で、翌年卒業予定であること
②通学まで片道60分以内(車&自転車は不可)であること(*バスや電車はOK)
③住所が以下の市内にあること
- 千葉市
- 習志野市
- 船橋市
- 市川市
- 八千代市
- 佐倉市
- 四街道市
- 市原市
よかった・・・うちは千葉市に住んでいるから電車とバスを使えば、なんとか通学圏内ですね。
現在、県外・上記の市外にお住まいの方でも、小学校を卒業する3月までの間に上記の住所地に引っ越す可能性があることを出願する際に証明できれば、応募資格が認められることもあります。
定員
今回は、一般生についてご紹介しますが、帰国生枠というのも存在します。
★一般生 男女 約60名
★帰国生 男女 約12名
全体の流れ
中学入試では、学校説明会への参加から始まり、願書の交付、願書提出、入試本番、合格発表、入学手続というように、色々な準備・手続をしないといけません。
以下、千葉大附属中入試に本気でのぞむ方に向けて、簡単な流れをご紹介します。
1 学校説明会への参加
例年10月初旬に、保護者と生徒を対象とした「入学者向け学校説明会」が実施されます。
*入試を受ける際に、必ずしも学校説明会への参加が求められているわけではありませんので、ご安心ください。
ここで、願書やパンフレットなどの必要書類を受け取れます。
事前予約が必要
7月半ばくらいから千葉大附属中のホームページで受付がされています。
早めに予約しておくことをおススメします。
2 願書の交付
まずは願書をゲットしましょう!
例年10月1日から12月末日までの間に交付されています。
校舎の事務室で受付。
郵送で願書の交付を申し込むこともできます。
*土日は受け付けていないので、注意が必要です。
3 書類作成&願書提出
例年12月24日くらいから27日くらいまでの3,4日間のみ。
書類を提出するのは、本人のみ、というのがポイント。
保護者は校舎内に入ることすらできません。
受験をする子どもが出願をしないといけません。親が代わりに行く、というのはNGなんですよね。郵送も受け付けていません。
なかなか面白い制度だと思います。
4 入試本番(選考)
1 一次選考
書類選考のみ
提出した「自己アピール申請書」と「出身小学校の調査書」の2点で判断されます。
一次選考の合否は、翌年1月初旬に郵送で届きます。
親の年収や職業とかは関係ないようね。一安心だわ。
一次選考は、例年ほとんどの方が通過しています。
よほど酷い内容でないかぎり大丈夫でしょう。
【参考 令和4年度 1次考査結果】
募集人員 | 志願者数 | 1次合格者数 | |
男子 | ー | 167 | 144 |
女子 | ー | 200 | 180 |
合計 | 男女約60名 | 367 | 324 |
2 二次選考
実質的にココが本番です。
一次選考を通過した子のみが受けられます。
試験は例年、1月20日前後に行われます。
試験内容は、以下のとおりです。
- プレゼンテーション
- 作文
- 総合問題(記述式)
- 集団討論
集団討論やプレゼンテーションもあるのか・・・
うちの子、性格的に内気だし心配だわ。
合格した子の様子を見ていると、明るくしっかりした印象の子が多い印象です。
5 合格発表&入学手続
合格発表
例年1月末日に合否が発表されます。
発表はネットでも公開されますが、現地の掲示板に行った方がいいです。
というのも、合格・補欠合格の場合、合格通知書などの書類を受け取る必要があるからです。
しかも、当日の9時から11時までの間に書類を受け取らないと、合格が無効になってしまいます。
せっかく合格していても、制限時間内に書類を受け取らなければ、「せっかくの苦労も水の泡に・・・」
そうならないよう合格発表まで気を抜かないようにしましょう。
入学予定者保護者会
2月初旬頃、保護者を対象に説明会が行われます。
この説明会で「入学確約書・誓約書」を提出します。
これを提出しないと入学を辞退したものと扱われるので、気を付けてください。
この時期は、他の私立中学や中高一貫の公立中学の合否の日程も重なります。
両方合格した場合は、どちらに入学すべきか、かなり悩むと思います。
千葉大附属中に入学するメリット&デメリット
さて、上記のような難関試験を突破して、入学するわけですが・・・
果たして、千葉大附属中学校に入学するメリットは何でしょうか?
千葉大附属中のメリット
- 良質な環境
- クラスの子たちはわりと優秀な子が多いので、お互いに刺激を受けられる
- 千葉大学の敷地内になるので、早い段階から「大学受験という目標」を意識づけられる
- 学費が私立中学に比べて安価
以下、深堀りしていきます。
1 良質な環境
校舎は千葉大の敷地内にあり、立地・建物・教員など周囲の環境は良質です。
もちろん、国立の中学なので、私立ほど充実しているわけではないですが、地元の公立中学に比べれば十分な環境といえるでしょう。
大学附属の中学校という特性を活かして、年間を通じて多くの研究会が実施されているのも魅力ですね。学校全体を通して、教育に対する「熱」を感じられます。
2 周りは優秀な子が多い
基本的に、地頭の良い子が集まります。
意識高い系の子も多いです。
面接考査や作文、集団討論など、難関試験を乗り越えてきた子ばかりですから、よほど悪い子はいないでしょう。
優秀な子が周りにいれば、お互い刺激し合え、良い相乗効果がのぞめます。
親からいろいろ言われるより、クラスの優秀な子に言われた方が、素直に聞けることってよくありますよね?
千葉大附属中の生徒なら、優秀な子、面白い子、個性的な子が多く集まる傾向にあるので、自然に自分を高めることができる可能性があります。
千葉大学の学生も教育実習として来てくれるので、大学生との接点が多く持てるのも魅力です。
3 「大学受験」という目標が持ちやすい
校舎が千葉大の敷地内にあるわけですからね。
当然、将来の「大学受験」という目標が身近に感じられるわけですよ。
常に近くには、「大学のキャンパス」、「大学生のお兄さん・お姉さん」、「大学の教授」などがいる。
そうなれば、「自分も将来はああいう生活を送るんだな」とイメージが湧きやすくなりますよね?
普通の中学生にとっては、大学なんてまだまだ先の話。でも、千葉大附属中なら「大学に行くのは当たり前」という感覚を持ちやすい、というのは子供にとっては大きなメリットになるでしょう。
4 学費が私立に比べ安価
国立大学附属の中学ですから、私立中学に比べれば学費は安いです。
家計としても助かりますよね。
安価な学費でも、良い環境に「投資」できるのです。
入学金や施設利用料など、他の私立に比べれば、だいぶ抑えられるのね。
これならパートの量を増やさなくて済むわ。
千葉大附属中のデメリット
メリットもあれば、当然デメリットもあります。
こればかりは、それぞれの「子どもの性格」や「学力の差」によって、デメリットになるかもしれませんが、以下に挙げてみました。
- 中学3年生になったら、再び高校入試にのぞむ必要がある
- 小学校から上がってきた子と馴染めるか未知数である
- 周りの子に優秀な子が多いぶん、授業についていけず「落ちこぼれ」になる可能性もある
以下、細かく見ていきます。
1 中3になれば再び「高校受験」が待っている
誤解している方がたまにいるので、言っておきます。
千葉大附属中に入学できたからといって、千葉大学にそのまま入れるわけではありません!
もちろん、「千葉大学附属の高校」なんてものも存在しません。
中3になったら、全員高校受験をしないといけないのです。
せっかく中学受験が終わったと思っても、3年後にはすぐに高校入試が待ってるのね・・・塾代なども負担だし、精神的にもキツイわ。
優秀な子が多いので、進学実績もハイレベルな高校に行く子が多いですよ!
ただ、再び受験をするというのは、なかなかタフでないとできないですよね。
千葉大附属中に入っても、そんなにのんびりしているわけにはいきません。
次の高校受験に向けて、早めに行動していく必要があります。
2 内部進学の子と馴染めるか未知数
千葉大附属の系列として、「千葉大附属小学校」があります。さらに下には、「千葉大附属幼稚園」まであるのです!
小さい頃から出来上がっている集団の中に、中学受験組が入り込むわけですね。
なので、小学校からの「内部進学組」の子たちと、「中学から入学した子」がうまく馴染めるかが問題となるのです。
なんだか慶應の幼稚舎みたいですね。
みんな一から人間関係を築いていくわけではないんですね。
こういった問題は、中高一貫の私立学校でもあることですが、内部進学者と高校からの入学者との間で、溝ができやすいことと通じる点があります。
「育った環境」だったり、「価値観」の違いですね。そのため、集団の中でうまく溶け込めるか、という懸念が残ります。
社交性のある子や、誰とでもうまく関係性を築ける子であれば、心配ないでしょう。
どこの私立中学・高校に行っても、内部進学者との合流はあります。
だから、これに関しては千葉大附属中だけに限った話ではないです。
3 「落ちこぼれ」になる可能性
これはどこの集団でも起こり得ることですが、「落ちこぼれ」は生じやすいです。
ましてや千葉大附属中の子は、学力的にかなり優秀な子ばかり。
授業のレベルやスピードも一般的な中学校にくらべれば、かなり高い。
入学考査で、たまたま合格できてしまった生徒だと、途中で授業についていけなくなったり、テストで赤点を取ってしまうこともありえます。
合格できたことは素晴らしいことなのですが、入学後もしっかり授業についていけるよう、気を引き締めていく必要があります。
千葉大附属中の受験にのぞむ上での考え方
最後に、千葉大附属中学校の受験にのぞむ上での考え方について、述べたいと思います。
「入試の特殊性」と「入学後の高校受験」という2点を踏まえて、以下の点を心にとめておきましょう。
- 合否は「運」の要素も大きい
- 他の公立・私立中学との併願で受験する
- 3年後の高校受験も意識する
合否は「運」の要素も大きい
千葉大附属中の問題を見ると、一般的な私立中学の入試問題とは全く異なります。
たとえば、プレゼンテーションはもちろんのこと。作文や総合問題の内容も、普段から時間をかけて勉強したからといって、試験でその内容が出るとは限りません。
受験のプロでも、出題の形式くらいは予想できますが、出題内容まで正確に予想するのは至難の業なのです。
試験現場での対応力、柔軟性、瞬発力が問われるのです。あとは「問題との相性」にも左右されるでしょう。
こればかりは普段の受験勉強だけで対応するのは、相当難しい。
ある程度の「運」にもよる、と考えておいた方がいいでしょう。
落ちても全然気にする必要はないですよ。
むしろ、「早い時期に挫折を味わえて良かった!」と前向きにとらえましょう!
他の公立・私立との併願で受験する
前述のように、問題との相性、現場での対応力・柔軟性・瞬発力が試されるため、「千葉大附属中だけ」のために受験勉強にのぞむのは危険だと思います。
試験内容が特殊で、他の公立や私立の試験と比べて、勉強方法がかなり異なりますからね。
必ず他の公立中学・私立中学との併願も考えておくことをおススメします。
(もちろん、「万が一、千葉大附属がダメなら地元の公立でいい」という方なら別です。)
実際、千葉大附属中の合格者数は、補欠合格者も含めると、受験者数の半分以上になっています。
【参考 令和4年度 2次考査の入試結果】
受検者数 | 合格者数 | 補欠合格者数 | |
男子 | 142 | 30 | 38 |
女子 | 179 | 45 | 54 |
合計 | 321 | 75 | 92 |
これは、「仮に千葉大附属中に受かっても、他の私立中学(東京の有名私立や渋幕・市川・東邦など)に受かれば、私立の方に入る」、という人が相当数いることを示しているのでしょう。
定員60名なのにもかかわらず、だいぶ多めに補欠合格者(92名)を出していますよね。
千葉大附属は「受かればラッキー」くらいの気持ちでのぞむ方が、精神的にもラクです。
それよりも、他の私立対策・適正試験対策に重点を置いた方がいいですね。
「3年後の高校受験」も見据えておく
千葉大附属中は、一般的な私立や公立中高一貫校とは異なり、高校受験にのぞむ必要があります。
なので、受験に取り組めるだけのメンタリティ溢れる子でないと、挫折してしまう危険があるのです。
ムリして小学生のときから、受験勉強をガツガツやっている子だと、中学入学後にガス欠を起こしてしまうかもしれません。
子どもの性格や適性、運などの複合的な要素によって合否が決まるため、あまりせっかちにならず、伸び伸びと受験勉強にのぞみましょう。
また、千葉大附属中に入る場合は、「高校受験でも頑張らないといけないこと」を入試前・入学前に親子で確認しあうことが必要になりますね。
「知識詰込み型」の中学受験のスタイルだと、中学に入ったあと「抜け殻みたい」になっちゃいそうで心配だわ。受験校選びは慎重に考えないとなー
まとめ
さて、長々と述べてきましたが、メリット・デメリットがあるにせよ、私は千葉大附属中は非常に良い学校だと思っています。
入学できれば万々歳!最高の環境の下で、さらに上を目指してもらえればと思います。
ただ、国立大学附属の中学校ということで、他の私立や公立の中高一貫校とは異なる部分も多々あります。
入試形態の違いだけでなく、入学後の進路・学校生活のことなども含めて、子どもに合うかどうかを中心に、受験するかどうかを決めてください。
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